サイト引っ越ししました

ブログサイトの引っ越しをしました.

http://yamaguchikeita.com

今後の更新はこちらのみで行いますので,ブックマークの変更等をお願い致します.

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広沢池の保全管理を考える

先日行われた、広沢池の今後の保全管理のあり方を考えるワークショップ(京都市主催)に参加し、その歴史的風土(風致)の成り立ちやその本質的価値について講演をさせていただきました。

それに先立ち、久しぶりに広沢池周囲を歩きました。たまたま、隣接している新興宗教系の教団の聖地とされている平安郷の一般公開があり、敷地内部の見学をしましたが(ここ数年毎年桜、新緑、紅葉の時期に一般公開されているそうです)、遍照寺山や池、谷の水など周囲の地形環境を生かした広大な自然風景式の美しい庭が整備されていて驚きました。ウェブの情報によると2005年の春に整備完了されたようですね。この敷地は風致地区第一種・歴史的風土特別保存地区・市街化調整区域等の規制の網がかかっており、建設行為に対しては極めて厳しかったはずです。おそらくそのためもあって、和風の意匠や伝統的素材や工法など、かなり力が入った整備になっていました。特殊なケースとはいえ、最近の新しい整備なのに、まるで昔からそこにあったかのような風景に仕上がっていることに、景観規制・誘導の効果もあわせて大変興味深く感じました。

 

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和束 地域カンファレンス 2

和束町にて,第一回(報告会)に引き続いて,茶に関する景観の歴史や特徴を探るために,地域カンファレンスを開催しました(2018.3.9).山口によるプレゼンのあと,原山と釜塚に分かれて上杉先生と藤井先生のファシリテーションにより議論を進めました.なお,院生の三輪と高林が記録を務めました.
茶農家の方々の景観に対する認識,茶生産に対するこだわり,集落と茶業の歴史,茶工場の歴史や使い方,自然条件の活用や季節や時間の感覚など,短い時間でしたが密度の高い情報交換ができました.また,飛び入りとはいえ最初から最後までご参加いただいた堀町長からもたくさん話を伺いました.
この成果は遺産解説書兼案内マップとして作成,公開を予定しています.

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国際研究ワークショップ

Wong先生やQin先生(CEE副専攻長)を含むシンガポール南洋理工大学の訪問団が京都大学に来学され,京大の土木系専攻,環境系専攻の研究室との今後の研究協働の可能性を探るワークショップを開催しました.
教え子の王君がWong先生の研究室で博士研究員兼プロジェクト研究員として研究活動を行っている関係で,私がホストとなりました.今後の,シンガポールと日本の歩行環境を中心とした比較研究,実践研究における連携が期待されます.

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南洋理工大の訪問団と,京大土木系・環境系の参加者

 

先月の2月3日には,イコモス文化的景観国際委員会・前委員長のモニカ女史やイコモス中国のリー女史をまじえた宇治茶の景観を考える国際カンファレンスに参加しました.

2月22日には,宗田先生からお誘いいただいて,農業遺産の保存と活用を議論するワークショップに参加し,ピエモンテ州ランゲのパローロ・ワイン産地の価値や保存管理計画,シャンパーニュの景観保全管理のなどの議論に参加しました.

海外のことを知ることと同時に,日本の知見をいかに海外に示すかということも問われています.頑張りたいですね.

時代の転換点

今,いろんな実務の仕事に関わる中で,都市や地域のあり方が大きく変わろうとしていることや,
プランニングのあり方を大きく変えなければいけない必要をひしひしと感じている。
それぞれ個々のトピックについてはよく言われていることではあるが,たとえば我々の専門分野に近いところでいうと,
超高齢化社会の本格化と人口減→地域社会システムの維持困難/持続可能なシステムの構築,
公共空間の民間活用の流れ→道路等の公共空間再編・活用,都市公園等の公共空間整備活用におけるPFIの推進,
気候変動と次世代の災害リスク管理→グリーンインフラの実装,土地利用政策の抜本的見直し,
モビリティ革命(シェア・自動化)→都市交通システム再編と土地利用転換,
観光革命(インバウンド,余暇拡大)→個性を際立たせる観光地デザイン
空き家・空き地増加問題→土地や不動産の所有と利用を分離した活用システムの設計
など。いずれも,ちまちました改良ではなく,抜本的な価値観の転換,政策の転換,システムの変革,が求められている。テーマやトピックごとに分けて要素ごとに考えてはうまく解けない。今こそ,予測とビジョンに基づいた総合的な大構想が必要である。

ありとあらゆる資源と課題をみわたしながら,地域ごとの最適解を見出す「デザイン」こそが地域再生の鍵となる。まさにプランニングが必要とされている。けれど,日本ではその社会的認知も低ければ,そうしたセンスを有する人材もかなり限られているのが実情。そういった分野をこえた仕事が殆どなかったから仕方ない。
しかし逆に,若い人にとっては,これまでの世の中の常識が通用しない,新たな理論と実践が求められていくわけで,これからの10-20年が,とてもやり甲斐のある,面白い時代になるとは思う。もちろん,そこに気づいている人,自ら動くことができる人に限られるけれども。
未来を想像し,どんどんインプットしないとすぐに感覚が時代遅れになってしまう。

因みに,今年はこれまでの努力が実り,2〜3の比較的重要なプロジェクトの立ち上げや設計に関われそうなので,そこでイノベーションを起こすことを目指したい。うまくいけば,いままでと根本的に違うラボ運営のありかたも可能性として出てくるかもしれないぞ,と思ってもいる。地域と空間を「デザイン」すること,これを実践する場をどこでどう立ち上げるか,を考えていきたい。

2017-2018

年の変わり目。1年を振り返りたい。

2017年は「切り口」を考える年だった。若手の勉強会や,いくつかのシンポジウムの企画,准教授になって担当が増えた講義,行政職員との勉強会,市民講座等でのレクチャーなど。目先にとらわれず,次の10年で何を生み出すか,どういう切り口で言葉にするか,を考える機会が多かった。

どこまでできるかはひとまずおいて,自分がなすべきことのオリジナリティというか,自分だからこそできることの「切り口」はみえてきた。研究レベルでは見えていたが,実践も含めて立ち位置がよりクリアに。また,今後10年の自分とまわりがどう動けばよさそうなのかも見えてきた。あとはどこまで実行=形にできるかどうか,だと思う。以下,備忘録的に。

○1人でやること
・地域のシステム・デザイン理論の構築,論文の執筆
・近代都市景観形成史研究,論文集の出版
・日本人の風景観の成り立ちの体系的整理,講義副読本の出版
・都市史・風景史の観点による文化的景観の読み解き →講義ノートの作成

○研究室でやること
・これまで進めてきた個々の研究テーマの深化・拡張
・文化的景観研究の方法論の新展開
・眺望都市・京都の研究,成果の出版
・プロジェクトの設計提案(地域デザイン×イノベーションの実践)

○研究会レベルでやること
・現代都市デザイン史的な「事例研究」の体系的蓄積,オーラルヒストリー調査,成果の出版
・景観政策・歴史まちづくり政策,デザイン協議に関する課題の官民勉強会
※これは,2人でも3人でいいからやる,ということなんだろうけど。

あらためて気づいたのは,いろいろな人の現場の話を聞くことの大切さ。
行政職員やプランナーやデザイナーの方々のご苦労を伺うことは,研究の位置づけを考える上でとても重要だ。今年は研究のテーマ上,行政職員の方々に数多くヒアリングさせていただいたが,世の中の本質的なことでも,論文にできないことは多々ある。研究者という立場で最も貢献出来ることはなにか,どう世に出し,巻き込むのがよいのか,は自分にとって重要なテーマ。

委員会活動が増え,実践活動もプロジェクトも本格化しはじめた(これはあまり話せないんですよね)。
いろいろあるが,しっかり形にしていきたい。
学内業務も大変になる中で,なかなか両立が難しいが,やるべき研究に時間がとれなくならないように何とかコントロールしなければと思います。

個性を育む都市デザイン シンポジウム

去る12月21日に,西村幸夫先生(東京大学 都市デザイン研究室 教授)の退職記念シンポジウム
個性を育む都市デザイン ーその研究・実践を展望する」に討議者として参加しました。

symposium171221-1コーディネーターの野原さんのご報告,事務局の永野さんのご報告はこちら。

個人的にはこれまで西村幸夫研の考え方や実践手法から学び,いつも参考にさせていただいていたので,お声がけいただいたことはとても光栄でした。

プレゼンでは,野原さんの趣旨説明(デザ研のフィールドとして,関西がとても少ないのに驚きました)に続き,本流のアーバンデザインをどんどん展開される遠藤新さん,都市に関わる他分野の専門を媒介し関係構築を目指すクリスチャンさん,丁寧な地域性の読み解きの上でのシナリオプランニングと事業としての持続可能なまちづくりをめざす中島伸さん,のお話しが続きました。みなさんの問題提起は,これからの都市デザインの多様な展開や大きな可能性を感じさせるものでした。個人的には伸さんの実践の考え方が自分のものにとても近いと感じて驚きました。討議もとても面白かったです。

私からは,都市をデザインするという行為の意味の拡大,公共空間をまちづくりの議論の俎上にのせること,そのためのまちづくりの芯は地域のアイデンティティであること,空間を人との関わりから捉えること,精神性を考えること,などについてコメントしました。

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討議の一場面(写真:永野さんfacebookより)

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討議開始直前の様子

 

そのまま流れで,都市デザイン研究室の忘年会へ。日付が越えるまで,みなさんの熱い話や,西村先生のお話しをきいて,たくさん元気をもらいました。

個人的に西村幸夫研の活動を参考にしていたと書きましたが,もうひとつ参考にしていたのが,京大・西川幸治研(都市史,歴史的町並みの保存修景)です。都市の歴史的景観と修景,景観のデザインをうまく結びつけたいと。そのうちに私自身が京都,奈良,滋賀,大阪のまちづくりに関わらせていただくことが多くなってきて,これらの豊かな歴史的文化的固有性・多様性を後世へとなんとか継承しなければならない,と日々強く実感していますが,今では,京都もしくは関西における「都市史研究」の研究拠点ならびに「歴史(文化)景観の保存・活用・整備」の実践拠点を形成することが,私自身にとっても重要なミッションであると考えています。そういった意味でも,日本にこの分野を確立された西村先生やその学統を継ぐみなさまといろいろ話せたことは今後の励みになりましたし,これからの活動のありかたをあらためて考えるいい機会になりました。それにしても皆さん精力的です。著書も多いし。こちらももっと頑張らなければなりませんね。

追記:
別の日に京大の増井先生ともいろいろ話したんですが,「少し前まで私たちが保全を訴えてきたのは常に逆風のなかだった。今はむしろ追い風になっている。大きく風向きが変わった」とおっしゃられていました。西村先生も同じようなことをおっしゃっていました。あらためて,敬意を表するとともに,この時代のありかたを考え,広げていかなければと身が引き締まる思いです。